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 麻疹・流行性耳下腺炎・水痘

麻疹

 まず、麻疹の概要です。潜伏期間は7-12日間と考えられています。初期には鼻水、咳、眼脂などの一般的なかぜ症状に伴って発熱がみられます。発熱後3,4日たつと頬の粘膜に周囲に発赤を伴う灰白色の小斑点、いわゆるコプリック斑が出現します。コプリック斑を見落とさなければ、発疹が見られる前に麻疹の診断が確定します。コプリック斑出現後、一度解熱傾向を示してから高熱に転じ、耳後部・顔・頚部から紅色の発疹があらわれ全身に拡大します。発疹が全身におよぶころから解熱傾向が現れます。発疹は色素沈着を残して、全身状態は回復していきます。全経過7から14日間です。麻疹ウイルスは空気感染ですので、麻疹の患者さんがいる部屋に入っただけでもらってしまう危険性があります。
 麻疹ウイルスに有効な抗ウイルス剤はありませんので、治療は対症療法のみです。麻疹はしばしば重症な合併症をきたします。代表的な合併症は肺炎・喉頭炎です。先天性心疾患などの心肺に異常がある人がかかると致命的になることもあります。さらに重篤な合併症は脳炎です。1000から2000人に1人の割合で発症します。発症した場合、死亡率は10%、後遺症率は60%といわれています。治療法がないので、予防することが重要となります。日本では有効性の高い麻疹ワクチンが乳幼児で接種することが推奨されていますが、接種率の実態は80%程度です。麻疹患者と接触した際には、3日以内にガンマグロブリンを投与することで予防あるいは軽症化ができます。
 麻疹というと小児科だけの病気と思っていませんか。実は成人での麻疹がふえてきているのです。小児の麻疹より成人の麻疹の方が呼吸困難を生じやすく、さらに脳症、消化管出血など重症例が多いようです。

流行性耳下腺炎

 次に流行性耳下腺炎です。麻疹と違って、飛沫(くしゃみ・咳で口から飛びだすしぶき)で感染します。ですから、飛沫か届く距離である約1m以上はなれていれば、うつる危険性は低くなります。潜伏期間は14日から21日です。飛沫に含まれていたウイルスは上気道の粘膜で増殖し、ウイルス血症をおこします。ですから、単に耳下腺が腫れるというだけの病気に思われがちですが、全身性の疾患なのです。
 麻疹や水痘と違って、感染しても30〜40%は不顕性感染で終わるといわれています。初期には食欲低下、全身倦怠感といった非特異的な症状がみられることがありますが、耳下部や頚部の痛み、腫れによって気がつかれることが多いです。耳下腺の腫脹は両側同時、時間差で両側、片側のみ、あるいは耳下腺はそれほど腫れず顎下腺が大きく腫れるというように様々な経過があります。発熱は合併症がなければ、数日間といわれています。治癒までには1〜2週間かかります。感染期間は発症する数日前から耳下腺腫脹がとれるまでとなっています。発症する数日前から隔離するということは困難なため、耳下腺腫脹が始まってから9日目までを隔離期間としています。
 流行性耳下腺炎は罹患すると終生免疫を獲得します。なかには2度かかったとか、以前は右側が腫れたから、今度は反対側にかかったという人がいます。本当に再感染したことが証明されることがまれにありますが、類似した疾患を流行性耳下腺炎と思い込んでいることがほとんどです。その代表例は反復性耳下腺炎といわれるものです。他にも流行性耳下腺炎ウイルス以外のコクサッキーウイルスやパラインフルエンザウイルスが原因で耳下腺が腫脹、唾液管から口腔内菌が侵入しておこる化膿性耳下腺炎、唾石などによる唾液管通過障害などとの鑑別が必要となります。最も確実な診断法は、流行性耳下腺炎ウイルスに対する抗体の測定です。
 流行性耳下腺炎では様々な合併症がおこります。代表的なものに髄膜炎があり、10〜20人に1人の割合で発症します。他にも重症な脳炎は5000〜6000人に1人、難聴は15000人に1人、膵炎は1000人に1人にみられるとされています。思春期以降の男性が流行性耳下腺炎にかかると、10人に1人で睾丸炎をきたします。まれには卵巣炎・心筋炎もあります。
 治療は対症療法しかありません。予防対策としては、発症する前から感染力があることと不顕性感染者からも感染することからワクチン接種が推奨されています。しかし、ワクチン接種が100%有効ではないのも事実です。報告によって多少異なりますが、だいたい80%程度でしょうか。

水痘

 最後に水痘です。水痘も麻疹と同様に空気感染します。感染力は極めて強いのが特徴です。初感染の場合、潜伏期間は10から21日で、感染期間は発疹が出現する2日前からすべての発疹が痂皮化するまでと考えられています。一般に、水痘ウイルスに初感染すると全身の皮膚・粘膜に水疱を形成します。帯状疱疹は水痘ウイルスが初感染時に背側神経根に感染し、なんらかの理由で再活性化した際に、強い疼痛とともにその神経根の知覚神経の走行にそって水疱が集簇してみられます。
 未感染の免疫不全状態の患者が水痘に罹患すると、重篤化し致命的な事態にもなりえます。やはり、ワクチンがありますのでできるだけ接種することが望ましいと考えられます。
 水痘の患者さんと接触した未感染者に対しては発症を予防するために3つの方法があります。
1)3日以内に水痘ワクチンを接種、
2)3日以内にガンマグロブリンを静注、
3)接触後1週間目から5日間アシクロビルを内服。
3つの方法は一長一短があり、どの方法を選んでも100%発症を防ぐことはできません。




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